アホウドリ②

アホウドリは言いました

向かい風を受け止める覚悟はあるか、と

 

彼らは丘の上に立って向かい風をじっと待つ

そして、両翼を広げ一気にに風の中へ消えていく

 
アホウドリはまさに「風に乗る」
そんな言葉がふさわしい。
飛んでいる様子は風の谷のナウシカを連想させる。
両翼を広げると2m以上、自身の全長の2倍にもなり
僕のすぐ近くを飛んでいくとき、ブワッと風を切る。
その音を今でも思い出せる。
 
陸での動きとはまるで違う優雅さに
カメラも構えずに眺めていることも多い。

一度つがいになったアホウドリは一生共に暮らす。

一年に一回一個の卵を産み、交代で温め、雛を育てる。

初めて卵を見たのは、コアホウドリのもの。

彼らはすっと立ち上がり、拳二つ分くらいの白い卵を見せてくれた。

それから毎日のように、このつがいに会いに出かけた。

 

通い始めて1か月後、

親鳥が急に立ち上がると光を眩しそうにする小さな雛がいた。

今すぐにでも抱きしめたくなるふわふわした毛に包まれ

少し寒そうで親鳥に早く温めてくれと急かしているようだった。

 

卵が孵るのは約2か月後なので、

逆算するとちょうど僕が小笠原にやってきたころに産んだことが分かって

僕はうれしくなった。

 

雛はどんどん大きくなっていく

産まれたころはあんなに不安そうな顔をしていたのに

ついには僕が来ると立ち上がり、

口をパクパク鳴らして一応警戒しているようだ。

 

産まれて約4か月後の5月には

彼は立派なアホウドリとしてアリューシャン列島へ旅立つ。

僕が聟島を去る3月末でも、

雛鳥が飛んでいる様子を見たことがない。

 

実は親鳥は雛を残して先に旅立ち、

残された雛鳥は半月飛ぶ練習をして、

後を追いかけるように旅に出るんだとか。

 

彼らはクジラの後を追うようにアリューシャンへ旅立つが

クジラが毎年帰ってくるのと違い、

雛鳥は繁殖できる(約5年)まで帰ってこない。

 

そのとき僕はこの島にいるだろうか。

向かい風待つ 

アホウドリきみは怖くないのか?

楽園を後にして 

遠くへ旅することが追い風待つ

 

人間たちは何も知らないだけ

楽園なんて人間が言ってること

遠くにあるのは生きること

 

 

僕が聟島を去るとき

振り返るとコアホウドリの親が追いかけてくるのが見えた

漁船に追いつくと彼はしばらく並走して

また、島へ戻って行った。

 

彼が僕に何を伝えようとしたのか

僕にはわからないが

あの雛にいつかまた会えるような気がした。

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大学卒業後、国内国外旅してきて

 

撮り続けた写真と綴ってきた言葉を

まとめたものです

 

長くて多いので

暇な時に読んでください♪

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ひとり旅をはじめてから

カメラとノートを

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その風景写真と短い言葉たちを

アメブロにて公開していました。

そのページをまとめたものです。

 

これまたたくさんあるので

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