John Muir Trail 1日目　～たった１日なのに～

２７キロの大きなバックパックを背負ってスタート地点Hppy Isleに立つ

今この瞬間から340㎞の旅が始まる。

記念撮影している横を軽装のハイカーが声をかけて通り過ぎていく

「Hike John Muir Trail？」

「Great！Have a fun!!」

JMTを歩くにはﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝ（許可証）をとる必要があるけども

正式にはキャンプをするためのもの。

だから、日帰りでは必要なくて、

ヨセミテの見どころの一つであるネバダ滝までハイキングする人がたくさんいる。

ちなみにﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝは誰でもとれる

ただ、ﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝには数に制限があり、

半数は３月から予約ができるんだけど、もちろん、すぐにいっぱいになってしまう。

そして、残りの半数は前日か当日に取ることができる仕組み。

（この仕組みはアメリカ中の国立公園共通である）

ﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝ制はまず第一に、「自然を保護する」ためにある。

人間が多く入ってしまうために（無意識のうちに）

自然が破壊されてしまうことは防ぎようがない。

だから、人数を制限して後世に残そうという考え方だ。

（未だに日本の世界自然遺産にこの考えがないのがおかしいくらい）

ﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝ制のもう一つの側面、「誰でも大自然を楽しめる」

ﾊﾟｰﾐｯｼｮﾝは数に限りはあるけど、条件は一つもない。

持ち物で義務化されているものはあるけど、個人的な条件はなし。

年齢も性別も、国籍も関係なし。

だから、取得するときにパスポートすら必要なかった。

もちろん、この仕組みを整えたのがジョン・ミューア。

「自然を守るためにはまず自然に触れ、愛することが大切」

そう考えたジョン・ミューアは国立公園内に車道をめぐらすのもいいと考えていた

（この当時、空気汚染の認識がなかった）

ジョン・ミューアは１９１５年に死去

その後カリフォルニア州議会の承認を得て１万ドル（今でいうと１０００万くらい）で整備が始まり

１９３８年に全トレイル整備が完了。

トレイルの道はただ、人が歩いたためにできた跡がそのまま道になっている。

それはこのトレイルが愛されてきた証だ。

今日の一番の見どころ、ネバダ滝の上に登り切り

スタート地点を見下ろす。

ノートにはこのときの気持ちをこう表現している。

『この道ができてもうすぐ75年になるという。

最初の人から私まで、いったい何人の人が歩いてきたのか

何にもなかった森の中に、人が歩いたためにできた跡がある。

そこにはいくつもの物語が、刻まれているのだ。

太陽が差し込むその一瞬、風が通り抜けるその一瞬

私はひとつひとつの物語とすれ違う。

私もまた、この道に物語を刻んでい行く

永遠になれ、物語たちよ』

ここから先はパーミッションを持ったハイカーのみが歩けるコースだ。

すれ違う人たちが一気に少なくなる。

一人の時間も増え、自然の音だけが静かに響いている。

今日のキャンプ地はリトルヨセミテバレー。

夜、この旅最初の焚き火をする。

松林の香りと木の燃える匂いが混ざり合って僕を包み込む。

『長い旅のはじまり

たった一日が終わっただけなのに

なんでこうも

誇らしい気持ちに満たされているのだろう』

そう、ノートに書き残して少し早めに寝袋の中に入った。

DATE:Happy Isle～Little Yosemite Valley 4.7mile(≒7.5㎞)