『奇木、枯木、老木に誘われるがまま
僕は白い砂漠へ足を踏み入れる
ルビー色したひとりぼっちの湖が
僕を眺めている
足元に咲く黄色い花びらは
僕の道を示す
ブラックバードが落としたひとつの羽
僕はゴールへのチケットを手に入れた
夢を叶える手前のちいさなキセキ
僕は確かに刻んでいた。』
ついにゴールのMt.ホイットニーが目の前に現れる。
これを登るのか
どうやって、あの崖の上に立つのだろう。
しかし、あと二日もすれば確実にあそこで僕は歓声をあげているはずだ。
そのイメージがあの頂きからやってきて
僕を誘う。
荒野と荒野の隙間にあるちいさな草原。
また、今日も気持ち良いところで手紙を書く。
『この寂しい荒野もきみに手紙を書いていれば
きみとの想い出になっていくのです。
人を拒むような荒野が
また、魔法によって僕のものになる。』
コーヒーを飲みながら、
袋に詰めていたトレイルミックス(ドライフルーツとナッツ類を混ぜたもの)を食べ尽くす。
すると、それを見ていたおじさんが
「Do you want it?」
と、トレイルミックスを分けてくれた。
しかも、家の庭から採ったアプリコットで作ったというドライフルーツもくれた。
僕はお返しにと、オリジナル名刺をプレゼントする。
彼は小笠原の海の写真を見て驚き、喜んでくれた。
自然の美しさは誰にとっても喜ばしいことに違いない。
『この世界に美しい色を作ったのは誰ですか?
私は沈黙に問い詰める
ふっと見上げれば、ブラックバード
ぐるりと回って崖の向こう側へ
この世界に美しい色を作ったのは誰ですか?
私はただ、ありがとうと言いたいたけなのです
ほんとうにありがとう、ほんとに。』