ネパール旅編 第五話 ~名も無き村と首都~

トレッキングルートを間違えて名も無き村にたどり着いた。

 

「フォトミー!フォトー!」

 

子供たちが群れになってこちらへ走ってくる。

カメラを向けると皆が各々ポーズをとる。

恥ずかしさと嬉しさの混じった笑顔が光っている。

気持ち良いとこにたどり着いたな。

 

見せて見せてとカメラの画面に自分が写るのを待つときの

きらやかな眼がぼくの心を惹きつける。

 

この村にはお金の気配がない。

観光客が泊まるようなロッジも無ければ、茶屋も商店もない。

田と畑が村を囲んで、牛も羊も大人も子も一緒に働いている。

いや、一緒に生きている。

 

村の真ん中で収穫を祝う小さな祭りが行われていた。

誰も英語が喋れないのに僕を歓迎してくれているのが分かった。

大きな荷物を置いて、輪に入る。

カレーのような料理が運ばれてきてみんなと食べる。

もちろん、スプーンなんか使わずに右手で食べる。

 

ミトミト!(うまいうまい)

 

こっちを見てた隣のおじさんが嬉しそうに笑ってる。

僕も思わず笑ってしまう。

食後にはチヤ(チャイ)が渡され、みながそれぞれ誰か喋りながらチビチビ飲んでいる。

誰もが笑ってる。笑い合っている。

これから冬に向かうこの村にとって、収穫のできがすべてなのだろう。

今年のできは良かったに違いない。

安堵と喜びの笑顔が溢れている。

 

村を去るギリギリまで子供たちは僕を離さなかった。

きっと、長い冬も彼らは笑い続けているだろう。

ふと、トレッキングに出る前に過ごした首都カトマンズを思い出した。

街を歩いていると一人の女の子が膝にしがみついてきた。

 

「Give me ルピー!プリーズ!」

ルピーとはネパールの通貨。 

 

彼女は無視を続ける僕を離さない。

どこまでもついてこようとする。

 

こういうとき、お金をあげるべきではない。

それは彼女のためにならない。

そう思って無視を続けても結局彼女を救えるわけでもない。

どうしようか困って止まってしまった。

 

すると、彼女の母親らしき人も現れた。

親子そろって物ごいなのだ。

 

写真を撮らせて。

そしたら、お金をあげるよ。

 

撮った写真は今まで撮ってきた写真の中で

一番悲しい一枚になった。

 

思い出した瞬間、ひどく後悔した。

彼女たちが写真を撮らせることとお金を交換するようになってしまったら・・・

彼女たちが「フォトミー!」と駆け寄ってくるとき、

名も無き村の子供たちのように純粋無垢な笑顔を見せてくれるだろうか。

 

結局、僕がとった行動は彼女たちを救うためではなく彼女たちから逃げるためにしてしまったのだ。

 

彼女たちにとって生きていくためにはお金がすべて。

お金を得るために必死なのだ。

(それは必死に働いて笑顔を無くした大人たちとなんら変わらないように思える)

誰も教えてあげられない。

名も無き村に行けばお金がなくても生きていけることを。

名も無き村の人々も生きるために田畑を耕しているのだ。

しかし、名も無き村には首都にはない笑顔がある。

 

お金があれば生きていけると信じるのは僕ら先進国と呼ばれる国も同じ。

首都カトマンズにある光景は日本にもアメリカにも形は違えどある。

ただ、アメリカや日本にいるお金のない人々には

名も無き村の人々のような笑顔があるのだろうか・・・

 

愛すべき友達や旅で出逢った人々の顔が頭をよぎる。

 

いや、きっとあるに違いない

 

そう思ってまた僕は旅に出る。

Profile

 

そのまんま、自己紹介です♪

Journey's Diary

 

大学卒業後、国内国外旅してきて

 

撮り続けた写真と綴ってきた言葉を

まとめたものです

 

長くて多いので

暇な時に読んでください♪

Book of my journey

 

ひとり旅をはじめてから

カメラとノートを

常に持ち歩くようになりました。

 

その風景写真と短い言葉たちを

アメブロにて公開していました。

そのページをまとめたものです。

 

これまたたくさんあるので

暇つぶしにしてください。

Woodworking

 

木をメインにした工房【旅をする木】の

作品集やものづくりへの想いを

ここにまとめています。

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