ジョン・ミューア・トレイル日誌　Dialy in John Muir Trail

0日目　ジョン・ミューア・トレイル（ＪＭＴ）とは

 ｼﾞｮﾝ･ﾐｭｰｱ･ﾄﾚｲﾙ（ＪＭＴ）を歩く前に

どうしても寄りたいところがあった。

「ブライダルヴェールフォール」

落差１８８ｍの滝は風に吹かれると

結婚式の花嫁のブライダルヴェールのように風に舞う様子から

名前が付けられた。

１９０３年、ここで歴史的なキャンプが行われている・・・

1日目　たった１日なのに

『長い旅のはじまり

たった一日が終わっただけなのに

なんでこうも

誇らしい気持ちに満たされているのだろう』

２日目　自然とわたし

自然と近づくこと、地球と近づくこと

それはただ、自然を楽しむことだけではなく

日常の生活でどれだけ自然に頼っているか

そういう感覚も必要なのかもしれない。

３日目　ひかりの山脈

長い長い冬に彼女たちは根を伸ばし

短い短い春に胸を張って咲けるように

彼女たちは彼女たちの物語を生きている

いったいどれだけの旅人を見守ってきたのだろう

４日目　ウィルダネスに響く音

もう、この地球上で人工音のしないところは

南極と北極、深海だけなのではないか

ふと、そんなことを考えてしまう。

5日目　ルビーレイクにて

僕もまた、必ずここに戻ってくるだろう

それはとても大切な思い出との約束なのではないか。

言い換えるなら、魂との約束。

そんなことを考えながら、今夜も星を仰いだ。

6日目　～ノート～

たくさん、歩けば歩くほど

疲れは気にならなくなり

多くのことを考え始める

そんな日のノートはまとめられない

7日目　～ＰＣＴ＆ＪＭＴ　焚き火～

人類が生まれたころから火を操ってきた。

火を囲んで酒を飲み、踊った。

便利のための現代化によって火は一気に失われていった。

もし、急速な現代化の中で

我々が忘れてしまったものがあるのなら

それは火の中にあるに違いない。

8日目　～ドラマティックな一瞬～

雨が降りはじめ　岩が色を変え　木々がそわそわする

空気に冷たさと緊張が走る

ガツン！！

雷が落ちる

ドラマチックな一瞬が山にやってきた。

9日目　～いったいどれだけ～

朝陽抱く峠道

旅人は自分のスピードで一歩一歩進みゆく

早いも遅いもないのだ

グッドタイミングはいつも歩み始めたその瞬間

10，11日目　～手紙を書くこと～

僕はつたない英語で

この旅で感じたことや想いは

手紙を通じて共有できると信じています。

と話すと彼らは笑顔でこう答えてくれた。

Sure,we think so.

12日目　～自然を守る理由～

私はこのｼﾞｮﾝﾐｭｰｱﾄﾚｲﾙを歩いてひとりの友を思い出した。

さっそく、木にもたれて彼に手紙を書く。

「あらゆる人間には守らなくてはいけない思い出の土地がある。」

13日目　～人間害～

テントを張った川沿いで

茜色に染まった空をミュールジカが走っていく。

屋久島ではシカが貴重な植物や木を

食べてしまう被害が出ているという。

人間たちはそれを「シカ害」と呼ぶ。

人間害について、いったい誰が諭してくれるのだろうか。

14日目　～なにを考えているの？～

時間は誰よりもたくさんある。

だから、少しここで休もう。

いつもこうやってそのときそのとき

自然のなかでの過ごし方を決めていく

15日目　～ミューアパス～

突然、夕陽が顔を出す。

ワンダレイクが反射して夕陽が二つになる。

ジョンミューアもここから夕陽を眺めていたに違いない。

ここから今まで歩いてきた山並みが見える。

よくもまぁ、歩いてきたもんだ。

ばかばかしくもあり、誇らしい。

１６日目　～豊かさ～

ミューアハットから見る朝陽は

まるで未来を照らしてくれるようだ。

ジョンミューアの名前がつけられたこの峠には

ジョンミューアのふたり娘の名前がつけられた湖があり、

夕陽はワンダレイクを茜色に染め

朝陽はヘレンレイクを藍色に染める。

１７日目　～The tree is born for good earth～

The tree is born for good earth.

木は良い土になるために生まれる。

18日目　～同じ過ち～

何度同じ過ちをするのだ

いつも大きなミスは小さな一歩がはじまりだ

ほんの少しの不注意が大きなミスを招く

いつもいつもこうやって

過去に後悔を残していく

１９日目　～ぼくは一本の樹になろう～

暗闇はすみわたり、星々が瞬く。

明るい闇が僕を包み込む。

今日という日に

僕は今にも泣き出しそうだった。

20，21日目　～食糧補給～

空が夕焼けに染まる。

昨日、今日と良い出逢いが多くてなんだかしみじみと空を眺める。

あと、1週間でゴールのMt.ホイットニーにたどり着く。

ゴール後まで町には降りない。

この最後のトレイルがうまくいくイメージしか浮かばない。

22日目　～静穏～

それは静寂ではない静けさ

それは無ではない静けさ

言うならば、静穏だ。

23日目　～歩くスピード～

いったい誰がこんな山奥に来るというのだろう

そんなところでは

いつも小さな物語が始まっている。

24日目　～時間とお金～

実は、旅をするようになって人はみな平等に時間を持っていない

そんな気がしている。

25日目　～ブラックバード～

ついにゴールのMt.ホイットニーが目の前に現れる。

これを登るのか

どうやって、あの崖の上に立つのだろう。

しかし、あと二日もすれば確実にあそこで僕は歓声をあげているはずだ。

そのイメージがあの頂きからやってきて

僕を誘う。

26日目　～夢の一歩手前～

歩き続けた結果がここに在る。

これから続く新しい世界が見渡せる。

さぁ、行こうか、どこまでも、自分を信じて。

27日目　～すべて～

Mt.ホイットニーの山頂には

ただ、避難小屋と初登攀を記念した印があるだけだ。

そこには歓迎の言葉も、賞賛の言葉もない。

28日目　～Thru-hiked!～

『I walk by myself

photo's by myself

words by myself

but special thanks to

my friends,my family,

all hikers and rangers i met,and...YOU!!』

番外編

“富士山でまた会おう”

と笑いながら去って行った。

富士山で、彼らが全裸になる様子を思い浮かべて

「ＳＵＲＥ！！」と

笑いながら大きく手を振った。

～あの夕暮れ時を忘れない～

あの夕暮れ時のmeetingを絶対に忘れない

At the top of Mt.whitney

あらゆる国からやってきた僕らは

世界の果てで、

ひとつの朝陽を見つめた。

ぼくらにとって、ここは果てではなくて世界の中心たった。