クジラ

ドバァツ・・・バシャーーン

 

クジラとの出会いは衝撃的だった。

12月の頭、初めて無人島へ仕事をし、

父島へ帰る途中だった。

疲れ切って漁船で寝ていると

 

「クジラだ!!」

 

と誰かが叫ぶ声が聞こえ、僕は飛び起きた。

船の端に捕まり、あたりを見回す。

 

「下にもぐったかも・・・」

 

次の瞬間、僕の視界の右端に水平線から飛び出す巨体が現れた。

スローモーションのように巨体は空を舞い、

止まってしまうのかと思うと海へと大きな音を立てて戻っていく

 

ブリーチング

 

クジラが巨体(10m以上)を海の上へを投げ出すジャンプだ。

尊敬する旅人である星野道夫さんの写真集でしか見たことない憧れのクジラ

 

僕は初めてクジラを見た

初めて見たというのは初めて肌で感じることだった。

 

クジラは12月頃小笠原にやってきて、子を産み育てる。

1月2月になると親子のクジラをよく見かける。

 

ウェザーステーションと呼ばれる夕陽スポットには

観光客から地元の人まで集まり、夕陽を眺めるのだが、

夕陽が沈む前、老若男女はクジラを探し始める。

誰かが、クジラのブロウ(潮吹き)を見つけると

みんな一斉に指さす方向へ向く。

 

「あっちにもいる!」

 

するとやはり、観光客、地元の人関係なく

老若男女みんな一斉に体の向きを変える。

 

仕事仲間のひとり(何年もここに来てる人)が

「クジラは見飽きた」と言っていたのに

目の前でブリーチングしたとき

「見た?見た?いま、ものすごく近くでジャンプしたよ!!」

と一番はしゃぐ。

 

ホエールウォッチングに参加したとき、

「おぉ、クジラがいましたよ~!」と

クジラを発見したガイドさんが一番うれしそうだった。

 

街を山を歩いているとき、海が見えるポイントに着くと

僕は真っ先にクジラを探す。

遠くでクジラがブロウする。それだけでうれしい。

誰もがクジラの魅力にひかれていた。

その誰もが見たいのはやはりブリーチングだろう。

なぜ、ブリーチングをするのかは分かっていない。

 

星野道夫さんはこう言う。

「人間は動物のすべての行動に解釈を試みようとするが

クジラが何を伝えようとしているのか、

結局僕たちが分かることはないだろう。

クジラはただ風を感じたかったのかもしれない。

ただ、なんとなく飛び上がってみたかったのかもしれない」

 

クジラは本当に気持ち良さそうにブリーチングする。

その様子を見ているだけで、元気になってくる。

ときには何度も何度も飛び上がる。

一度だけ、二頭のクジラが交互に何度もブリーチングをしているところを見た。

僕はカメラを取り出すことなくその光景を眺めていた。

 

途中でカメラを取り出そうかと考えたが、

その光景を前に「一瞬でも見逃したくない」という思いがあり

クジラから離れていく漁船の上で見えなくなるまで眺めていた。

(ブリーチングの写真が撮れなかった言い訳かもしれないが

 

実際にその場に立てば言いたいことを分かってもらえると思う)

 

小笠原から内地へ帰るときの話、

見送りの人たちと手を振って最後の別れをしているとき

二見湾の出口でクジラが手を振ってくれた。

その行為はペックスラップと呼ばれる。

 

行為の意味は

「ただ、なんとなく人間のマネをして手を振ってみた」だけかもしれない。

Profile

 

そのまんま、自己紹介です♪

Journey's Diary

 

大学卒業後、国内国外旅してきて

 

撮り続けた写真と綴ってきた言葉を

まとめたものです

 

長くて多いので

暇な時に読んでください♪

Book of my journey

 

ひとり旅をはじめてから

カメラとノートを

常に持ち歩くようになりました。

 

その風景写真と短い言葉たちを

アメブロにて公開していました。

そのページをまとめたものです。

 

これまたたくさんあるので

暇つぶしにしてください。

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木をメインにした工房【旅をする木】の

作品集やものづくりへの想いを

ここにまとめています。

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