アホウドリは繁殖のために小笠原にやってくる
クジラも繁殖のためにやってくる
アホウドリはスカベンチャー(掃除人)と呼ばれるように
クジラやイルカなどが食べ残した魚やイカを食べる。
だから、アホウドリはクジラより
少し早くやってきて
少し遅く追いかけるように旅にでる
アホウドリ(鳥全般)の糞はリンがたくさん含まれていて
赤土に含まれる酸素と結合して
良い土に生まれ変わる。
植物の種子がそこへ飛んできて
新芽が顔を出す
木の実を食べる鳥
アカガシラカラスバト、メグロ(ともに絶滅危惧種&天然記念物)は
糞と一緒に種も赤土の上に排出する。
こうして植物の育ちにくい赤土の上に
必然的に新芽が育つ
そして、自然はこの島を
少しずつ少しずつ固有種のジャングルに変えていく。
自然のリズムを人間は簡単に壊してしまうが
自然は回復するリズムも持っている。
ぼくたちは今度こそ、そのリズムに乗れるだろうか
5月
小笠原は花が咲き乱れ、新芽が伸びるころ
冬の間
人々の心を満たしたクジラは去っていく
アホウドリも北へ旅に出る
長い夏が始まる
この島を太陽が照らし
この島に恵みの雨が降る
太陽をたっぷり浴びて
雨をしっかり受け止めて
根を深く伸ばし、
葉を大きく広げる
自然はまた元の姿にもどっていく
静かに
リズミカルに
小笠原独特の自然の調べ
ぼくたちは今度こそ、その調べに耳を傾けられるだろうか