ジョン・ミューア・トレイル(JMT)を歩く前にどうしても寄りたいところがあった。
「ブライダルヴェールフォール」
落差188mの滝は風に吹かれると
結婚式の花嫁のブライダルヴェールのように風に舞う様子から
名前が付けられた。
1903年、ここで歴史的なキャンプが行われている。
ひとりは当時の大統領セオドア・ルーズベルト。
もうひとりは自然保護の父と呼ばれるジョン・ミューアである。
ふたりは今のヨセミテ国立公園で3日間キャンプをする。
そして、このキャンプをきっかけに
ルーズベルト大統領はアメリカ中に国立公園と特別天然記念物を指定し、
ふたりはアメリカの原生自然を守った人物としてアメリカではとても有名だ。
ジョン・ミューア・トレイルは彼の功績をたたえ
彼の死後(1915年)、1万ドルの予算で整備され
ヨセミテ国立公園~Mt.ホイットニーまでの340kmの
ロングトレイルが1938年、完成した。
ジョン・ミューアは生前から
「自然保護は自然の良さを知ることからはじまる」
と考え、多くの人が自然と触れ合えるように、と
今の国立公園のシステムを構築した。
ふたりはヨセミテ渓谷を見下ろす「グレイシャーポイント」でもキャンプをしている
ジョン・ミューアが世界放浪の旅にたどり着いたヨセミテ
そして、自然破壊が進んでいくヨセミテを見て
自然保護を訴えた活動を開始する。
はじめて出版した本が話題を呼び、
ルーズベルト大統領とキャンプ会談。
一般人と大統領がふたりきりでキャンプをした場所
それは世界的にも歴史的にも稀なこと
明日から彼が生涯愛したシエラネバダ山脈の原生自然を旅する。
その前にどうしてもここに訪れておきたかったのだ。
彼は旅の果てにここで何を感じたのだろうか
そして、僕はこの旅の途上で何を感じるのだろうか
それは歩き出せば、分かる気がした。