昼過ぎに黒い雲がもくもくと空を覆い始め
強い風が突然、テントを襲う。
鳥が歌をやめる
リスが家路を急ぐ
ハイカーが脚を早める
雨が降りはじめ
岩が色を変え
木々がそわそわする
空気に冷たさと緊張が走る
ガツン!!
雷が落ちる
ドラマチックな一瞬が山にやってきた。
この山々では、雷による山火事は消火活動をしない
(もちろん、人に被害の可能性がある場合は行う)
なぜなら、山火事は森を育てるからだ。
ジャイアントセコイアの種子は殻につつまれていて、
火事によって殻が焦げて、中身が出てくる。
倒れた木、灰になった木は良い土になる。
数年前、大規模な山火事が起きたエリアを歩く。
焼け焦げた木々が異様な景色を描く
そして、倒れた木の影に小さな花が咲き乱れる。
新しい木の芽が顔を出す。
雷は森に死と生をもたらすドラマチックな一瞬だ。
テントに逃げ込んで外を眺める。
雨がやみ、今日も当たり前のように山々が茜色に染まっていく。
さぁ、夕飯の用意をしようか。