John Muir Trail　26日目　～夢の一歩手前～

森林を越えて、荒野を歩く。

もう、動物の気配もなく冷たい風が体を締め付ける。

ゴールのMt.ホイットニーを眼前にテントを張る。

ついにここまで来た。

ついに・・・

2年前、雑誌（今では雑誌の名前すら忘れた）の小さな記事にあった

このＪＭＴ（ジョン・ミューア・トレイル）を僕は歩き終えようとしている。

ＪＭＴにあこがれたまま、僕は日本一周に旅立った。

あの頃、夢見た道はもう過去であり、今現在になった。

あれからやりたいことを

あれからやってみたいことをやり続けたら

その全てがこの旅につながっている

その全てがこの旅に生かされている

そんなことに気がついた。

周りからいろんなことを言われたこともあった。

それでも、積み重ねた先にある夢を

僕は誇りを持って叶えに行くんだ。

あとすこし、あとすこし、あとすこし。

あまり、「夢」という言葉を使わないのに、

ノートを振り返ると、このときは多用している。

『夢ってのはそんな大したものじゃなくていい

なにかをやり遂げたり

なにかすごいものを作ったりしなくていい

小さな幸せをつかむことが立派な夢じゃないか

小さくて愛おしい、形がバラバラで、色はさまざま

そんな幸せをたくさん集めようじゃないか』

『どんな荒れ果てた世界の端っこでも

ここは俺の世界の中心なんだ。

歩き続けた結果がここに在る。

これから続く新しい世界が見渡せる。

さぁ、行こうか、どこまでも、自分を信じて。』

ノートを一ページずつ振り返っていく

不安と興奮が入り混じった心を握りしめて

動き出した1日目から写真とともに。

『一歩一歩踏み出すたびに　思い出す顔があるんだよ

一枚一枚撮るたびに　感じる心があるんだよ

一言一言紡ぎだすたびに　想う世界があるんだよ

長い髪なびかせて、地球の歌を聴いたんだ

このまま、どこまでも行けるのさ

そんな歌が聴こえるんだ

一歩一歩踏み出すたびに　近づいてくる未来があるんだよ

一枚一枚撮るたびに　重ねていく過去があるんだよ

一言一言紡ぎだすたびに　つながっていく現在があるんだよ

長い髪束ねて、大きな荷物背負っていこうか

このまま、どこまでもいつまでも、旅をつづけるのさ

Thank you,see you again!合言葉に』

そして、新しい夢が自分の中でふつふつと湧き出して

いつか必ず叶えてやろうと決意した。

あのころの夢は、いつの日か叶える夢の一歩なのだろう。