May I help you?
オランダの小さな街ライデン
オランダの街並みは大通りから離れた路地がとても魅力的で
ぼくは迷うことを怖れずに進んでいく。
そして、案の定迷う。
地図を広げて見ていると、
オランダ訛りの英語が僕に向けられる。
May I help you?
顔をあげると同じくらいの背丈の青年が微笑みを浮かべて立っていた。
Thank you!
Which way to Muesiam?
ライデン国立博物館だね?OK!
一緒に行こう!案内するよ!
歩きながら、ぼくらはお互いの自己紹介を始めた。
日本とライデンはシーボルトという歴史的人物によって
今も深く結びついていて、街のいたるところに日本語がある。
旅した2009年にはオランダ国内で日本食が流行っていたこともあり
ライデン大学の日本語科はとても人気が高いのだという。
彼は興味津々に日本のことを質問した。
ぼくはそれにちゃんと答えられていたか不安だ。
案外、自分の国のことを説明するのは難しい。
正しく言えば、自分の国をしっかり知っていないのだ。
彼はいつか日本に行きたいな、と言った。
How old are you?
15!!
え?同い年くらいの青年かと思った彼はまだ中学生だった。
オランダの平均身長は世界で1番高く、成人男性の平均は180cm、女性は170cm。
だから、僕と同じくらいの背丈(170cm)でもおかしくないのだ。
だが、驚いたのは見た目だけではない。
よく考えてほしい。
15歳の中学生が道に迷っている外国人に声をかけるということ。
それがあまりにもぼくら日本人とかけ離れていることに驚いたのだ。
自分が15歳の時、確かに英語は習っていたが
彼ほど流暢に話せるわけもなく、
ましてや、外国人に声をかけるという勇気などない。
ここにオランダの特徴が二つ見えてくる。
オランダには母国語のオランダ語があるが、
九州と同じくらいの面積しかない小さな国なので、
いずれは世界に出ていくしかないという考えから、
小さいころから英語教育が盛んで、
小学生くらいから80歳過ぎのおじさんたちまで
多くの人が英語を堪能に操る。
そして、オランダという国は移民を多く受け入れてきたため
オランダ人と外国人という境目がほとんどない。
きっと、彼も外国人に声をかけるというよりも
困っている人に声をかけるっといった感じだろう。
面白いことに旅の中で、ぼくはよく道を聞かれた。
はじめての海外。
日本という国の常識が世界の常識とは違うということ
それを15歳の少年との出会いが教えてくれた。
そして、やっぱり肌の色や言葉、大地に引かれた線など
思いやりがあれば簡単にどうにでもなるんだと思った。
ぼくは日本に帰ってから困っている外国人旅行者を見つけると
声をかけることにしている。
日本語でこれを恩送りという。