日本には山が山ほどがあるが、
実はウィルダネスエリア(wilderness area、原生地・原生林)もたくさんある。
しかも、世界的にも見ても多種多様な植生・地形・文化が眠っている。
しかし、多くの登山家たちは、そこを足早に通過してしまう。
私はウィルダネスエリアでゆっくり過ごすことを目的にして旅をする。
@富山県
日本最奥地へ富山県折立エリアからのトレイル
秋色に染まる山々は
ついつい足を止めてしまうほど妖しい。
雲ノ平へつながる小さな原生地エリアを
ゆっくりと味わうように歩く。
@富山県
美女平や大品山をはじめ山麓には
巨木の森と原生林が残る。
主要部には
原生地らしく荒々しい大地が
旅人たちを出迎え、
そして飲み込んでしまうほど美しくある。
@鹿児島
洋上のアルプスと呼ばれる屋久島は
暖かい海流に囲まれた小さな島。
周囲はたったの100kmほどしかない。
しかし、中央に2000m級の山々が連なること
一年中豊富な雨に恵まれること。
その恵まれつつも特異な環境が
世界にも珍しい天然杉の巨木林を作る。
@石川県・福井県・岐阜県
白山信仰の大本山
頂上に向けて四方八方から禅定道が伸びる。
その登山口近くにそれぞれの地形に合わせて
それぞれの原生林が残り、
巨木たちが出迎えてくれる。
龍神信仰も多く残るように
水が豊富なこの地域は生き物たちが躍動する。
@鳥取県
大山は中国地方でも最大のブナの原生林が広がる
特に裏大山と呼ばれる地域には
ブナの他にもトチやカツラなどの
巨木が残る地域がある。
そのひとつが木谷沢渓流。
ここではかつて山で暮らし、山に生きる
山窩たちが活躍する舞台だった。
@大分県
九重連山の主要部から少し離れたところに
青く覆われた深い森がある。
火山噴火の溶岩が作り出した黒岳は
その大地を青い生命が覆い尽くし
主要部とは違った雰囲気を持つ。
@島根県
縄文時代に最後の噴火があった三瓶山は
出雲神話にも登場する神話の山
麓にはその噴火で飲み込まれた埋没林もある。
戦後まで山のほとんどは
火入れや放牧によって開発されたため
原生林は残っていない。
しかし、人間の利用が急激に減ったこと、
国立公園に指定されたことで
森林は急速に回復し、自然林(二次林)が
広範囲に鎮座する。
安蔵寺山原生林 2023.04.23
@島根県
天然のブナ・スギの巨木たち
針広混交林の原生林が広がる。
かつてこの地にはお寺があり、
多くの修行僧が住んでいたという。
その面影は全く残っていないが
それを飲み込んだ自然の豊かさに覆われる道。
@滋賀県
70年前に廃寺となったこの地には
もともとあった巨木が少しずつ衰退し、
そして、極相林へと移り変わっていく。
自然遷移における巨木と人間の関わりが
はっきりと見て取れる静かな森